2008年05月12日

白 萩 ( 秋 )

紅葉越しの東大寺大仏殿

千鶴子

菊まがき ランドセル背に 走り抜け
灯の奥に 碁石の音澄む 十三夜
夕づつや 星のまたたき すでに秋
一塊の 光る雲置き 時雨去る
リフトより 見る噴石に 秋の草

ポインセチア 炎の如く 店頭に
草の実を つけて負はれて 戻りけり
濡るる程 露を雫して 供華を剪る
蔦紅葉 明治の館を 華やかに
枯萩や 白壁に日の 移ろへる

茎の石 替えて二夜の 旅に出づ
箒目の 清らにありて 石蕗の花
こおろぎの まだいとけなき 薄みどり
裾野曳き 翼下に暫し 秋の富士
徐行して 銀杏落葉の 降るを見し

菊

呼鈴に 弾む返事や 秋晴るる
這ひ這ひの 子に随いてゆく 小春縁
秋天に 城の石垣 仰ぎけり
乱れ積 てふ石垣を 秋天に
裏木戸を 押せば近道 草紅葉

花枇杷や 光りはじめたる 星一つ
方言の いともやさしき 十三夜
幼な児に 言葉また増え 実万両
聞きとめし より虫の音の 中にゐて
追伸に 返り咲きせし リラのこと

 
落縁も  丹念に拭き  秋彼岸
古稀の秋  雲の流れに  来し方を
見覚えの  ある道に来て  曼珠沙華
白萩や  人深く住む  旧家あり
花枇杷や  朝の光りの  ある小径

枇杷

くぐり門  より入り来し  秋の蝶
蜩や  午後の郵便  来し気配
篭に挿せば  秋草らしく  庫裏書院
敦盛を  舞ふ夾涼の  能舞台
後の月  碁盤の石の  つややかに

旅に来て  居待ち寝待ちの  月を見し
秋澄むや 
藩祖築ける  人口湖
平穏に  暮れて晩秋の  日なりけり
時雨るるや  古き銘ある  手水鉢
落葉せる  かそけき音を  ききにけり

白書院  黒書院といひ  京の秋
星涼し  子の新しき  赴任の地
振り廻し  来る学帽に  秋夕焼
石仏に  散らんばかりの  草の種
時雨去り  苔美しき  裏参道




岑  子

落日の  秋めく海を  みてゐたり 
碑は  渡しの名残り  水の秋
白鷺の  輪に秋の山  秋の月
美術館  出て秋空の  時計塔
コスモスに  濯ぎしものの  影長く

あきつ飛ぶ  家解体の  塀越えて
白桃の  匂ふうす紙  遺影の間
十三夜  生家に婚の  話など
白秋祭  百の川舟  灯を連らね
山門に  野分けの後の  蜂群るる

地酒銘  しるす煙突  いわし雲
昼月の  淡きに風の  糸芒
青芒  川のむこうの  なまこ壁
旧道の  名残いづこも  柿熟るる
鶏頭燃ゆ  しんと真昼の  養護寮


鰯雲

縄文の  塚掘る人等  鰯雲
道岐れ  人わかれゆく  野菊晴
コスモスに  囲まれ島の  小学校
木の実降る  音のかそけき  勅使道
月代に  戸毎配りし  赤い羽根

コスモスの  群落なせる  陶の里
秋霖の  紙漉き村に  薬売り
晩秋の  滝をそびらに  歌碑と句碑
まなうらに  父郷の紅葉  濃かりけり
秋日さし  寺に老いゆく  昼寝犬

美術展  見し眸に  秋の空深し
鴨すでに  見えず夕陽の  浮御堂
能楽堂より  異邦人  秋の暮
燈れる  公園灯や  秋の暮
雑草の  中の鶏頭  抜かれたり

秋雨に霞む層雲峡

帯解きし  紐いろいろや  縁小春
弓道場  裏に崇なす  竹落葉
散策の  風ひとすじに  萩ゆるる
野菊挿す  一輪ざしに  記念の句
倒れたる  ままに路傍の  秋ざくら

石蕗の  花女工哀史の  館あと
出入りに  触れもす萩の  返り花
散り敷ける  柿の花踏み  郵便夫
秋日中  女優の素顔  親しめり
秋雨の  街に来てゐし  献血車

洗ひ髪  さらりとかわき  夜の秋
もどり船  秋夕焼に  染まりつつ
秋の風  浮見堂より  二三人
朝市に   買ひたる草の  花いろいろ
朝露の  芝生に拾ふ  貝ボタン


エッセー集
http://bunmei.seesaa.net/

ネット社会、その光と闇を追うー
http://aramahosi.cocolog-nifty.com/

posted by asaborake at 18:15| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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